徳島の那賀川源流域に位置する木頭。 年間降水量は3000mmを超え、豊かな土壌にも恵まれた全国でも屈指の林業地帯です。 標高が高く、温暖な四国の中でも寒暖の差が大きい木頭地域で育った杉は、生育が非常に良く、赤みがちな優しい色合いと美しい艶を特徴としています。
目に優しい温かい色。木は、目に有害とされる紫外線の反射が少なく、目に優しい材料といわれています。木目や模様には適当なゆらぎとコントラストがあります。ゆらぎと呼ばれる適当な不規則性が、自然で快い印象を与えるのです。
木には、人間の耳にとって耳障りな高周波域の成分を抑える特性があります。
スギから匂うほのかな香りはストレスを癒します。木の芳香成分に鎮静効果があることがいろいろな実験でも確かめられています。このような成分は精油と呼ばれ、消臭、防ダニ、殺虫、防カビ、抗菌作用が知られています。最近、スギの香りが眠りを促進することが、徳島大学医学部の研究から明らかになりました。人の脳波などを測定した結果、眠りにはいるのはスギの部屋の方が早くなります。ラットの実験でもスギの香りで夜間の活動が減り、1日の平均睡眠時間は2時間20分も増えました。スギの香りが交感神経を制御してリラックスした状態をつくり、睡眠を促進するのではないかと考えられます。
実験室の内装面にスギとビニールクロスを貼って、室内の湿度状態を比べると、スギではその変動幅が小さく、湿度が一定に保たれる様子がわかります。湿度が高くなれば水分を吸収し、湿度が小さくなれば水分を放出するという、この湿度コントロール機能は、さながら天然のエアコンのようです。